25-怒り、悲しみ、やるせなさ

あなたは他人に殺意を向けられたことはありますか?

 

2度と起きてはいけない事件が起きてしまった。1度目も勿論起きてはいけなかったのだが。

 

欅坂46の握手会会場に発煙筒とナイフを忍ばせていた男が侵入し、発煙筒を投げ込んだのち間一髪で取り押さえられた。一部報道によると、てちこと平手友梨奈を狙っていたと話したらしい。

てちが何をしたっていうんだ。

誕生日当日の、16歳になったばかりの少女が、なんで狙われなくちゃいけないんだ。誕生日当日にこんな目に遭うなんて。おかしい。酷い。

事件後、てちは当日の握手会の全部の欠席を五月雨式に発表した。(握手会は時間毎に1部、2部、3部……と分かれている。)

何故一括で欠席を発表しなかったのか、運営の不手際なのか、てちがぎりぎりまで参加しようとしていたのか。真意は不明だが、てちが参加しようとしていたのなら健気すぎる。

 

AKBなどの48グループ、乃木坂46欅坂46はグループ結成から一定期間センターポジションのメンバーを固定する方式を取っている(HKTに関しては指原の移籍などの関係で固定されていない)。ファンからの指標が一切ない結成当初からグループ人気が上がってもセンターが固定されるということは、後々人気が上がってきた子がセンターになれないことを意味する。つまり、初期のセンターは他の人気のあるメンバーのヘイトを一身に受けることになる。

AKBの前田敦子、SKEの松井珠理奈、乃木坂の生駒里奈。初期にセンターとして“推され”、アンチを大量に抱えることになってしまったメンバー。そこに、今回てちも組み込まれてしまったのかもしれない。

欅坂は他のグループに比べ未だ発展途上のグループだ。人気の指標の一つである握手会の完売率はほとんど横並びで人気メンバーと不人気メンバーの差がついていない。「箱推し」と呼ばれる、グループ全員を推すファンも多いように感じる。てち以外のメンバーのポジションは流動的だからこそ、固定センターのてちにしかアンチが付かない事態に陥っているように思える。

 

姉妹グループの乃木坂46生駒里奈も同じような境遇を辿っている。シングルのセンターが続いていくうちに表情が死んでいく過程もとても似ている。生駒ちゃんはセンターを外れた後とてもいい笑顔で笑うようになった。

 

最初に戻るが、1度目の事件を覚えている人は多いのではないだろうか。2014年5月25日、岩手県での握手会において、のこぎりを持った男がAKBのメンバー2人とスタッフ1人を切りつけ、負傷させた事件だ。

2人は直ぐに搬送され入院、半年近くギプスを着けて人前に出ていた。自分のファンだと思っていた人間から殺意を向けられること、想像を絶する恐ろしさだ。それなのに当時は事件以降握手会に出ない2人を非難する意見が散見された。

 

それから握手会は手荷物検査、金属探知機などを使って厳戒態勢で警備されている筈だった。大量の人間を時間内に捌かないといけない作業だから粗雑になりがちなのはわかる。わかるが、こうやって凄惨な事件が繰り返されたことには怒りと呆れを禁じ得ない。

 

てちはまた人前に立てるだろうか。数日後に音楽番組への出演が決まっている。

休んで欲しい気持ちと、やっぱり欅坂のセンターはてちしか居ないという気持ちが混在している。

 

犯人はどういう理由で犯行に及んだのかなんて、どうでもいい。早く裁かれてほしい。そして握手会の運営は手荷物を一切持ち込ませないよう仕組みを変えるべきだ。

 

てちの笑顔が一刻も早く戻りますように。