アイドル「欅坂46」についての考察
これはアドベントカレンダー「チラシの裏」参加エントリーです。
彼女たちを知ったのはいつだったか。
少なくとも2016年の紅白歌合戦で私は彼女たちを見ていた。秋元康プロデュースのグループとして、なんとなく知っている程度だった。
興味を持ち出したのは、4月に行われた彼女たちの1stAnniversaryLiveの頃だったように思う。
そこから私は、欅坂46の虜になってゆく。
元々はAKBやSKEといった“48グループ”のファンであったが、推しメンの卒業やグループの衰退が著しく、どんどんつまらなく感じるようになっていった。私は指原莉乃のアンチなので、彼女が台頭する今の体制に不満もあった。
そこに現れたのが欅坂46である。
SKEがかつてダンスが凄いグループとして売っていたように、欅坂46もダンス(パフォーマンス)を売りにしていた。軍服をモチーフにした制服衣装も斬新で可愛かった。(ナチスをモチーフにして炎上したりもしたが)
「平成の山口百恵」とも称される、欅坂46のセンター平手友梨奈の存在感は凄かった。しばらく私も平手ちゃんの顔以外は分からなかった。
欅坂を知るのとほぼ同時に発売されたシングル、「不協和音」にはド肝を抜かされた。サビで平手ちゃんが叫ぶ「僕は嫌だ!」。一矢乱れぬダンス。ターンと共に花のように広がっては畳むスカートの綺麗な形。夜寝る前にYouTubeで冠番組のまとめ動画を見るのが日課になり、次々に顔と名前を覚えていった。
それから彼女たちをテレビなどで紹介する時、必ずと言っていいほど「笑わないアイドル」と言われ続けた。それはデビューシングルの「サイレントマジョリティー」で付いたイメージであり、「不協和音」やドラマ主題歌となった「エキセントリック」、不協和音の次にリリースされたアルバムのリード曲「月曜日の朝、スカートを切られた」で付いたイメージである。
そこで、サイレントマジョリティーと不協和音の間にリリースされた「世界には愛しかない」と「二人セゾン」のMVを見て欲しい。
曲調めっちゃ明るい。
二人セゾンとかめちゃくちゃにっこにこやぞ。
誰だよ笑わないアイドルとか言ったやつ。
「世界には愛しかない」はメンバー内人気はかなり低いみたいだが(ポエトリーがあるから?)、私はかなり好き。衣装は膨張色の白だし袖の長さ的に二の腕が太く見えるのが難点。
「二人セゾン」は今年までにリリースされた曲の中では1番好きだ。メロディラインも綺麗だし、バレエをモチーフにしたダンス、個性が強調されるポジショニングも良い。衣装も今までの軍服風を踏襲しつつお嬢様感のあるボルドー色とグレー。最高かな?
「笑わないアイドルが笑った」と各音楽番組で煽られまくったのが、最近リリースされた「風に吹かれても」だ。詳しい音楽用語はわからないが、「That's the way〜♪」のフレーズと共に軽快なメロディに乗せて、黒のスーツを着たメンバーが楽しげに踊り歌う。
この曲ははちゃめちゃに笑顔で、と指示があってめちゃくちゃ稽古したんだろうなと見て取れるメンバー達の笑顔が弾ける1曲。だが、どの音楽番組でも冴えない表情をしているのがセンターの平手ちゃんだ。彼女はインタビューなどを見る限り、いわゆる「憑依型」の表現者であるという風に見て取れるし、インタビューでもそう答えている。よって、「風に吹かれても」という曲を通してどう笑って良いのか整理出来ていないのではないかと推測している。
そしてもうひとつは、平手ちゃんの酷使による彼女の消耗度合によるものだと思う。メンバーの大半が学生であるため、ライブなどのイベントは夏休みに集中していた。全国ツアーや握手会の他にも沢山の仕事がまとまって彼女たちに降りかかっていた。
降りかかったタスクはメンバー平等でも、そのどこでもセンターに立つというプレッシャーは計り知れない。結局ライブツアー中にアンコールに参加できないほど消耗してしまう。また、時期はもう忘れたが平手ちゃんの握手会レーンに発煙筒が投げ込まれたりと散々矢面に立たされ続けたのである。
お願いだからもう彼女を開放してあげてほしいという思いと、まだ世間からのイメージ=平手なのでしばらく立っていてもらうしかないのだとも思う。
そう考えるとあれだけのアンチに負けなかった前田敦子は凄かったんだなと再認識する。これから紅白を含め年末年始の音楽番組が立て続けだと思うが、どうか彼女の笑顔が戻ってきますように。